2015年7月上演


作 :しゅう史奈
演出:小松幸作
チラシ チラシ
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あの頃の事なんか全部・・・全部忘れたんです!

あの山 雲の向こうの・・・あの上が俺らの森か?
あっこから見たらこっちの町は ごっついええとこに見えたのになあ
宝石箱ひっくり返したみたいに見えたやんか
いっつも下の町見下ろして アホみたいな夢を見た
覚えてるやろ? あの草の湿った匂い
あそこで三人 息ひそめてやったこと
どこって あそこやんか あそこ 俺らの 秘密の森


幼稚園の休日に開かれる絵画教室で、5才の少女が誘拐された。加害者は17才の少年。穏やかな日常を突然引き裂いた悲劇。それをきっかけに、葬った過去の扉が開かれる・・・

海市(Kaishi)ー工房2年半ぶりのステージは、物議をかもした問題作「人魚の森」再び
罪とは?祈りとは? 人間の怖さと優しさを閉じ込める 海市の世界

 

鈴木達也
泉美樹里
松田拓也
荒木めぐみ
黒澤彩
烏丸ルナ
河村光紀
長野真歩
越山深喜
山本育子
杉浦雄介
太田治希
小松幸作
※一部ダブルキャストあり
美術/吉野 章弘
照明/村上 秀樹(回転OZORA)
音響/熊野 大輔
宣伝美術/荒巻 まりの
舞台監督/武田 佐京
制作/翠-sui-、海市−工房制作部
上演によせて
しゅう史奈


 『人魚の森』を書いたのは、生み出すことに臆病になっていた時でした。
「“創る”という字は“きず”とも読めるんだよ」
知人の言葉に、キズツクことから逃げまいと自分を叱咤激励し、昔話の鶴のように、心の羽を1本ずつ毟り取って物語を紡ぎました。
 何ごとにも腹を立てていた頃でした。
小川未明の名作『赤い蝋燭と人魚』に重ねて、どうして? なんで? と思いをぶつけるようにキーボードを叩いた日々を懐かしく思い出します。

 舞台を創る時ほど、人生について考える時はありません。
何のために生まれて来たのか? 人と繋がるとはどういうことなのか?
それが辛いとばかり思っていた私は、新しい仲間と積み上げた日々の中で、創ることは「キズツク」ことではなく、「愛する」ことだと知りました。

 末尾になりますが、設定は2005年初演当時のままであり、現在少年法は改正されていることを書き添えます。思うところはありますが、それはいずれ別の機会に。
 宝物だけれど悲劇を含んだ作品を携え、2年半ぶりに幕を開けることには勇気がいりました。
でも今、私の心は驚くほど温かです。


ご挨拶
小松幸作


本日はご来場頂きましてありがとうございます。

 作者から「人魚の森」を初めて渡された時は衝撃を受けたものです。
興奮し、激しい憤りを糧に作品をつくりました。
あれから10年の間に世の中は大きく変化したという思いと、いや人間はそう変わってはいないのではないか、という両方の思いがあります。
全てがネット中心に……芝居の宣伝方法ひとつとっても変わりました。
犯罪についていえば、少年法の改正があったとはいえ、決して良い方向へ向かっていえるとは思えません。
では受けとる人たちの心は?
どんな風に変わったでしょう。変わっていないのでしょう。

 公演を休んでいた2年余りは忍耐の期間でしたが、その時間は私に、自分にとっての演劇や人というものを考えさせてくれました。
憤りというよりは、それでも生きていく人たちを描きたい、そこに、今この作品を上演する意味があるように感じています。
 未明の言葉の本当の意味が、やっと分かってきました。
「人間は、この世界の中で一番やさしいものだときいている。」……

 新しい役者たちと共に、やさしさを込めて育みました。
ご観劇後、物語について、彼らについて、少しでも話題にして頂けたら幸せです。

 

#3        
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